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鉋(カンナ)

1.鉋の仕立て−台をつくる
2.鉋の仕立て−刃をつける
3.鉋の仕立て−刃と台を合わせる
4.鉋の手入れ−刃線の維持

  鉋(カンナ)とは<材木の表面を削って平らにする工具。長方形の樫の木台に刃を仕込んだもの>です。
 
 大工道具にはいろいろの種類がありますが、なかでも、カンナはその花形と言っても良でしょう。
練達の大工がゆるゆるとカンナくずをだしながら、カンナをひいている婆は、職人の職人たる証を見ているようです。
それは、他の道具が、何とか素人でもまがりなりにも使えるのに対して、カンナだけはどうも素人の手におえないせいからかも知れません。
ヤリガンナ 道具曼陀羅より

 カンナといえば、今日ではカンナ台に仕込まれた台ガンナのことをさしています。
しかし、昔はカンナといえば、ヤリの穂先に似た形をした、今日言うところのヤリガンナのことをさしました。
当時はこれを釶(せ)と呼んでいたようです。
昭和のはじめ、奈良の興福寺の屋根裏から見つかったヤリガンナが、古物商の店先に並びました。

 彫刻家の関野聖雲氏がそれを見つけ、後に東京博物館に寄贈したとのことです。
これが現存するただ一つのヤリガンナです。
あとはわずかにその類似品が、正倉院の刀子の中に見られるだけです。
今日では、文書や絵巻に残された記録から想像して、復原品を作っています。
最近では薬師寺の再建に、この復原品が使用されて有名になりました。
また、建築界のはなしではないですが、和楽で使用するツヅミの内部を仕上げるのにも、ヤリガンナが使用されたらしく、その削り跡をカンナ目と呼んでいます。

 そのヤリガンナが何故、今のカンナつまり台ガンナに名前だけ移ったかといえば、もともと、カンナという名称が道具そのものを示すのではなく、木の面を仕上げる化粧及びその道具という意味でした。
そのために、全く形の違う道具が、その使用目的が同じために、同じ名前で呼はれたのではないでしょうか。
今日のカンナつまり台ガンナができたのは、宝町時代だと言われています。

 古いノコギリであるガガリは室町時代に渡来したといわれますが、ガガリと台ガンナの使用とは大変密接な関係があります。
ガガリが渡来する以前の製材方法、つまり割り裂き式製材方法では、どうしても平滑な面に挽割ることはできませんでした。
いくら素性の良い木でも、木を割った面はどうしてもガサガサと波打った面となってしまいます。
そこを削るには、マサカリ、チョウナで下こしらえをして、スプーンのような形をしたヤリガンナを使用すると、大変上手い具合でした。

 ガガリは木の繊維を切断しながら製材します。
すると、製材面は平滑であっても、逆目(さかめ)という状態が発生してしまいます。
平滑な製材面をスプーンのような刃物で削ると、かえって平らにならないことさえ生じました。
こうしたことから、台ガンナの登場を見ることになったのでしょう。
 
 現在、木材加工も大半が機械加工できるようになりました。
ですから今日では、目につきやすいところをカンナで仕上げるくらいで、カンナは補助的な道具になりました。
しかし、手道具の味というか、機械作業では味わえない美しさを知った時には、カンナは手ばなせないものとなります。
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 カンナは左図のような形をしています。
もちろん、これは平らな面を削るカンナです。
Aの部分をカナヅチなどでたたいて刃を出します。
また、Bの部分つまり台の顔をたたいて、刃を戻します。
カンナは刃の出し方が少ないと、ただ木の上をすべるだけですし、出せば今度はガツと食い込んで、全然動かないという、まことにやっかいな道具です。
しかし、道具は理屈です。カンナこそ理屈どうりに作られています。
その理屈が外からは見えにくいので、魔法のように見えるわけです。

 カンナが木を削るのは、もちろん鉄の刃によってですが、その刃に削らせるう秘密は実は台にあります。
台のツラつまり木と接する面は、左図のようになっています。
XYZの三点だけを材につけ、他は0.5ミリばかりすき取ってあります。
こうすることによって、Yよりほんの少しでも刃が出さえすれば、その出た分だけ材にくい込む理屈になります。
ところがXZだけが材に接して、Yはついてないとすると、Yから出た刃はまだ材にとどきません。
そして、材につくまで刃を長くだすと、今度はその分だけ深く材にくい込んでしまいますから、重くてとても引けなくなってしまいます。
カンナごしらえは、まず台と言っても過言ではありません。

 本来、台のツラは真平らで良いのです。
しかし、完全な平面を維持するのは、大変神経のいることです。
そこで、逃げといいますか、ツラの大部分をスキ取っていのです。
ここでYZを考えたとき、その中間をスキ取ってしまえは、二点は直線を決定するのですから、YZは自動的にまっすぐになってしまいます。
そしてさらに、本職はXYZの三点をつけることによって、より完璧な平面を削りあげます。

 カンナの台も、やはりカンナで削ります。
まず、台のツラを完全な平面にカンナで仕上げます。
次に台ナラシカンナという刃を直角に仕込んだカンナで、横削りにスキ取っていきます。
最初はこうして台のツラを作りますが、使っているうちに材とこすれて、カンナの台もツラがすり減ってきます。
すると再びツラをスキ取って調整します。

 カンナは、そのはじめには刃と台、この二点でできていました。
節などのない素直な木を削るには、これだけで良のです。
しかし、明治になって良材が払底し、良い物ばかりを使えなくなりました。
いわゆる逆目という現象がおきて、悪い木目の材を削る大工は大変難儀をいたしました。
何とか逆目をとめようと考えたのが、今言うウラ金を使う方法です。
 
 ウラ金ははじめ、樫の木で作りました。
その後、一分(3ミリ)厚くらいの鉄板をとりつけたところ、具合良くいきました。
見る見るうちに全国にひろがり、二枚カンナ、合せカンナと呼はれて今日に至っています。
それ以後、今まであったカンナ(ウラ金のついてないもの)は平カンナ、一枚カンナと称されるようになりました。

カンナの刃とウラ金
 カンナの刃は右図のようなかっこうをしていますが、これの巾がいろいろとあります。
大きい方では四寸(12センチ)、そして五寸(15センチ)といったところでしょうか。
三寸(9センチ)以上は大ガンナと呼びますが、これは刃巾の正味の巾で計ります。
ですから、四寸の巾があっても、両側にいくらか耳をとりますので、実際に削れる巾は四寸には足りません。
しかし、四寸カンナで四寸の柱を削ります。
柱には両端に面があるから、四寸カンナでちょうど四寸角の柱が削れるという上手い具合になっています。

 ところが、二寸二分(6センチ6ミリ)以下のカンナは、少々事情が違います。
例えば一寸八分(5センチ5ミリ)のカンナを計ると、総巾ではだいたい二寸三分あります。
これは、耳をとったあと、つまり実際に削れる巾をさして、一寸八分と呼んいます。
ですから、名人の手にかかると、一寸八分のカンナで二寸の削りをするなどという、素晴らしい芸当もできます。

板ものでは上から下まで一気に削る
 二寸二分から一寸四分までのカンナが最もひんぱんに使用されています。
大工さんたちは、一寸六分のカンナは六分、一寸八分は八分と言った具合に、一寸をとって呼んでいます。
また一寸四分以下を小ガンナともいいますが、不思議なことにこれは、大ガンナと同様、正味巾で呼んでいます。

 カンナの調子をだすのは、難しいものです。
腕のいい本職となると、刃の研合せ、砥石の具合、台の調子はもちろん、
晴れの日、雨の日では違う仕立てになります精度の高い削りものをするためには、大変デリケートな神経の使い方が必要です。
風の強い日は埃が舞うので、上物の仕上げはできません。

 以上は、平らな面を削るカンナです。木を削る原理はどんなカンナも同じですが、削る面が溝状になっていますと、普通のカンナでは手がでません。そうした特殊な形状を削るカンナはまた別に、たくさん用意されています。

                      
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2.鉋の仕立て−刃をつける
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4.鉋の手入れ−刃線の維持

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