大工道具の話         建築用語集
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鉋の手入れ−刃線の維持

1.鉋の仕立て−台をつくる
2.鉋の仕立て−刃をつける
3.鉋の仕立て−刃と台を合わせる
4.鉋の手入れ−刃線の維持

 鉋(カンナ)を使っていくと、当然のことながら、台や刃が減っていきます。
台が減るといっても、台の減りはそれほどでもありません。台が狂って下端を削って調整していくと、やはり台は減ります。すると口が広くなっていきます。口が広くなると、逆目がおきやすく、あまり芳しいことではありません。しかし、名人級の人ならいざ知らず、普通に使うのなら口の広がりは、逆目は裏金の調整で対処できますから、それほど気にしなくても大丈夫です。
   
 しかし、刃の減りは問題です。最初は、左のようだった刃先が、研ぐにしたがって徐々に減って、とうとう左のような状態になってしまいます。左のように、刃先のピカピカ光っていた部分がない状態を、<裏切れ>といいますが、裏が切れると使えなくなりますから、<裏出し>という作業が必要になります。

 裏出しは、そうとうに熟練が必要です。鉋(カンナ)を使えるようになるには、このサイトを読んで、ここに書かれているとおりにやれば、必ず削れます。しかし、裏出しは難しい作業です。

  はじめての裏出しは、かならず失敗します。ですから、カンナを2丁持ってからのほうが良いでしょう。それでも、本当にカンナが使えるというためには、裏出しができてこそです。心して挑戦してみてください。

 ゆるく凸状になった鉄塊を用意します。裏出しのための部品は市販されていません。ですから自作します。ボクは金床というレールを使っていました。10センチくらいに切ったレールは、金物屋で市販していますから、それを買ってきます。そして、その一部をグラインダーで丸めます。

 レールの角をグラインダーで、サッカー・ボールくらいの曲率に丸めます。面積的には1センチ平方角もあれば充分です。この角に、刃をのせます。

 刃とレールをぴったりと密着させてください。刃先の全部を密着させる必要はなく、刃先から1センチくらい戻ったところを密着させます。この密着したうえから、玄翁で叩く作業を裏出しといいます。

 密着させる部分が狭いと、作業は難しくなり、広いと易しくなりはしますが、それでも難しいことには変わりありません。ガタつくようなら、レールの角をグラインダーで削ります。そして、密着している部分を確認して、上から玄翁の角で矢印のように叩きます。

 この作業を刃の右から左まで、均一に叩いていきます。すこしずつカンナの刃をずらしながら、密着している部分を叩いて、刃を伸ばしていくのです。脇の下を締めて、息を殺して叩きます。

 密着していない部分を叩くと、刃先が壊れます。ですから、密着させたまま刃を移動させ、密着した上を叩きます。密着した部分を叩くと、ガツッという音がします。密着していないところを叩いたときは、カチャという音がしますから、それで区別します。

 密着しているかどうかは、カンでしか確かめられないので、ときどき密着していないところを叩いてしまうことがあります。すると、叩きヒビというヒビが、刃先に平行に入ります。一度叩きヒビが出てしまうと、そこまで研ぎ減らさなければなりません。

 密着している上を叩いているから、鉄が伸びてくれるのです。密着している先を叩けば、鋼(ハガネ)である刃先は脆いので、ヒビが入ってしまいます。このコツをつかまないと、何度やっても叩きヒビが入ってしまいます。ヒビが入ると、研ぎ減らす以外に手はありません。長い時間かけて、荒砥で研ぎ減らすことになります。

 カンナの刃を2ミリ近くも研ぎ減らすのは、長い時間のかかる作業で、本当に泣かされました。しかし、何度か叩きヒビを経験して、やっとカンナが使えるようになっていくのでしょう。そして、この作業ができるかどうかが、プロがどうかの分かれ目なのでしょう。

 刃先を叩いた後は、左の図のようになっているはずです。もちろん強調して描いてありますから、実際はかろうじて曲がっているのが判る程度です。この作業が終わったら、最初にやったように金板のうえで、金剛砂をつかって裏を研ぐ、裏押しをします。裏押しの作業はまったく同じですから、刃をつけるを参照してください。

 裏出しから裏押しをして、完了です。ここまでの作業を終えると、裏切れ状態だった刃が元の状態に戻っているはずです。あとは普通に刃を研いで仕上がりです。

 刃幅の狭い鑿(ノミ)は、裏出しをしません。しかし、刃幅の広いカンナは、裏押しの前に裏出しが必要です。そして、カンナの糸裏といって、刃先のピカピカ光った部分が、細いほうが良いとされています。ですから強く叩いて、大きく曲げる必要はありません。
 裏出しができれば、もう完全に一人前です。カンナを使うたびに、台を油でふきます。油をしみこませながら使っていくと、次第に艶がでてきます。あとは使いながら、使いやすいカンナに仕上げていきます。

1.鉋の仕立て−台をつくる
2.鉋の仕立て−刃をつける
3.鉋の仕立て−刃と台を合わせる
4.鉋の手入れ−刃線の維持
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