分筆登記の具体例  

 分筆登記は、どんな具合に進むのでしょうか。ひとつの具体例を見ましょう。

○月○日
 知人の山田太郎さんから、土地を分筆したいのだが、との電話相談があった。
見積もりをしたいので現地を見せて欲しいといって、お目にかかる日時を約束した。
○月○日  
 約束の日にうかがって、山田さんの所有する土地に案内していただいた。
 土地は左図のような形をしており、幅6.00メートルの区道と、幅3.50メートルの私道に接していた。これを点線のように、2つに分割したいという。現場をよ〜く調べ、すこし時間をいただきたいと言って、その日はそれで分かれた。

 現場の帰り道、登記所によって公図をとったり、登記簿謄本で隣地の所有者などを調べた。
 隣地所有者は3人だが、私道の所有者は、財務省が3/4を、他2人が各々1/8ずつ共有していた。
ノー・スケールです


 そして、区道との境界が確定しているかどうか、区役所の道路課にいって調査する。
また私道が、建築基準法の42条2項道路に該当しそうだったので、ついでに建築指導課をまわって調査をする。(2項道路は、分筆登記には関係ないが、土地の利用に影響するので)
結果は右図のとおりだった。
@  区道との関係−反対側は、査定が済んでいた。
A  区道との関係−西隣地の小泉花子さん、私道部分、隣地隣子さんの土地は、すべて境界査定済みだったが、山田さんの土地(A−B)のみ未査定だった。
B  私道は42条2項道路であり、中心線から2メートル戻るように言われた。
C  B点について−財務省は、目黒区を含めた3者で、確定のための立会をしたいという。
 

やるべき作業は、
@ 道路の境界(B点)の査定確定 
A 財務省や共有者との境界協議 
B 隣地所有者との境界協議確定 
    
○月○日
 以上の調査結果から、山田さんに見積書を提出し、金額の交渉をして了解された。
そこで委任状を作成していただき、着手金として半金を送金してもらう約束をする。
隣地に住んでいる人と、土地の所有者が違うことがわかったりして、山田さんはとても驚いていた。
隣地の方に、近々に測量をするのでよろしくと、山田さんと一緒に挨拶をする。
区道と隣地関係で印鑑証明書が必要になるので、印鑑証明書をとってもらうようにお願いする。
○月○日
 測量の日は、まず近隣に挨拶する。そして、立入の許可をもらう。
雨が降り出しそうだったが、なんとか降られずに、無事に測量を終わった。
印鑑証明書をいただく。
事務所にもどって、測量の結果を現況測量図におこす。
○月○日
 区役所の道路課に、現況測量図と印鑑証明書を添付して道路査定申請をだす。
担当者が決まるまで、1週間かかるとの返事で、決まり次第に連絡するとのこと。
ここまでは、民間のルールで動けるから、それほど時間はかからなかった。
しかし、役所が相手になると、とたんに超スローペースになる。
○月○日
 私道の共有者である財務省(関東財務局)に、現況測量図と印鑑証明書を添付して、境界確定協議の申込みをする。
他の共有者(A山B夫さんとC川D太さん)には、電話して事情を説明する。
すると、境界が確定したら同意するから、連絡して欲しいとの返事だった。
○月○日
 区役所から担当者が決まったとの連絡があった。
打合せに来所されたいという。
担当者が決まるまでに1週間。そして、打合せの日は、それから1週間後に決まった。
○月○日
 財務省の担当者から、現場ので立会申し入れがある。
区役所も同時に立ち会った方が良いとのことで、山田さんと区役所の日程を調整する。
3週間先の日に決定する。
○月○日
 同時並行で、道路には関係ない隣接地の所有者と、境界確認の作業を進める。
小泉花子さんと○月○日に現地立会をして、筆界確認書をとりかわす。
安倍次郎さんと○月○日に現地立会をして、筆界確認書をとりかわす。
福田武雄さんと○月○日に現地立会をして、筆界確認書をとりかわす。
○月○日
 区役所道路課、財務省そして山田太郎さんが、現地で境界を確認する。
当方が仮に境界として測量していた地点より、5センチほど山田さん側へよった地点で合意が成立する。
山田さんの土地が減ってしまったが、それでも、登記簿面積よりも若干広かったので、ほっとした。
○月○日
 区役所に区のマークの入った境界標をもらいにいって、現場に境界標を埋設する。
道路査定の下図と、確定の現況測量図を作成して、ただちに区役所と財務省に郵送する。
○月○日
 区役所道路課から道路査定図を、2点ばかり加筆せよとの電話がある。
財務省から現況測量図に同意するとの電話がある。 
○月○日
 道路査定図に加筆してファックスする。区役所からOKの電話がある。
これで道路査定図も確定した。
○月○日
 私道の共有者に境界が確定したことを連絡し、○月○日に現地立会をして、筆界確認書をとりかわす。
○月○日
 道路査定図に山田太郎さんの実印をもらって、現場写真を貼付して区役所にだす。
○月○日
 財務省とのあいだで、印鑑証明書を添付して境界協議書をとりかわす。
○月○日
 道路査定図、筆界確認書、境界協議書、敷地調査書などを添付して、登記所に分筆登記の申請をする。
○月○日
 分筆登記が完了した。 

 測量はトータル・ステーションという光波測量機がおこない、コンピューターで作図するから、ほとんど間違いはない。もっとも難しい問題は、隣地所有者から筆界確認書にハンコをもらう作業である。所有者が遠くに住んでいたり、共有者が多かったり、あげくのはてに隣家と仲が悪ければ、一筋縄ではいかない。そして、境界点が不明だったり、争いがあれば、絶望的な時間が必要になる。
 
 分筆登記終了まで、順調にいって2ヶ月くらいかかる。道路が未査定だと、それに加えて2ヶ月といったところだろうか。

広告
「測量と登記」へ戻る