サーファー プロジェクト      建築用語集
No.00 問い合わせがあった No.01 敷地の状況 No.02 設計依頼と試案提示 No.03 試案の提示−その2
No.04 定例の打合せ No.05 天井と室内仕上げ No.06 仕上げ、地盤 No.07 地盤と基礎
No.08 床下の話 No.09 無垢材か集成材か No.10 建築確認申請 No.11 見積と施工者
No.12 請負契約と銀行 No.13 着工した No.14 プレカット No.15 根切り開始
No.16 コンクリート打設 No.17 基礎とヘルスコート No.18 上棟前の仕事 No.19 上棟した
No.20 屋根と筋違 No.21 中間検査 No.22 現場の年納め No.23 新年を迎えて
No.24 細かいところ−T No.25 細かいところ−U No.26 細かいところ−V No.27 細かいところ−W
No.28 階段と屋根際 No.29 建て主の参加 No.30 ほぼ完成 No.31 最後の仕事
No.32 引渡し No.33 6ヶ月点検
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No.12 工事請負契約と銀行と設計

 「サーファープロジェクト」の資金は、全額を銀行からの借り入れでまかないます。
そのため、銀行の貸付け許可がでないと、いくら見積をいじったところで工事はできない。
すでに銀行の審査は通っているのだが、変更があったので、保証会社の再審査が必要だという。
M銀行の担当者に、図面や見積書、それに建築確認の副本などをおくった。

 建築本体の工事費は1200万円で、設計監理費、地盤調査費、外構工事費や登記費用などを含めた工事総額は1500万円である。
今回は設計監理費も地盤調査費なども、銀行の融資でまかなう。
そのため、外構工事費や登記費用などを含めた、300万円分の見積書を匠事務所がつくった。
つまり銀行には、ヨネクラ工務店の見積書、それに匠事務所の見積書と、つごう2通だしたわけである。
支払時期は、契約時に500万円、中間で500万円、完成時に残金支払いとした。


 10月の初旬には、保証会社の再審査もOKがでて、無事に資金の目途がたった。
そこで、ヨネクラ工務店と工事請負契約を結ぶことになった。
米倉さんが契約書をつくってきたので、かんたんに読み合わせる。
そして、さん夫妻が記名押印する。
ボクも監理者として、記名押印する。

 1200万円円の工事請負契約にたいしては、2万円の収入印紙が必要である。
2011年までは減額措置があって、1万5千円となっている。
印紙はお互いがそれぞれに負担する。
これで工事請負契約が結ばれたので、いつでも工事にかかれるようになった。

 いまでは銀行の使途追求が、とても厳しくなっている。
融資したお金は、借りた人の口座に入りはするが、銀行の手で使途先に振り込まれてしまうのだという。
預金通帳に数字が印字されるだけで、借りた人はまったくお金を見ることはない。
工事請負契約書を銀行にだすと、ヨネクラ工務店と匠事務所へと、それぞれ400万円と100万円が振り込まれた。

 しかし、自宅を建築するためにお金を借りて、それを他の用途に使ってしまう人がいるのだろうか。
おそらく、そうした人がいるから、銀行が自分の手で工務店に振り込んでしまうのだろう。
それにしても、そんな人は少数だろ。
借りたお金の管理を借りた人にさせないとは、ずいぶんと人間不信な話である。

 
 建築工事費の支払い方には、いくつかの方法がある。
全額を一度に支払っても構わないのだが、そんなことをする人はいない。
最初に全額支払ってしまって、請け負った工務店が倒産したら、支払い損で工事は宙に浮いてしまう。
また、最後に全額払うというのでは、建築主に事故でもあったら、工務店は丸損になってしまう。
そこで、契約時(=着工時)、中間(サッシが付き、外壁が張れたときなど)、それに完成時と、3分の1ずつ支払うことが多い。

 ボクは完成引き渡し時に10%残しておき、入居1ヶ月後に残金として支払いたいのだ。
しかし、今回のように銀行がうるさいと、それもできずに、3分の1ずつの支払いになってしまう。
ところで、工事中の建物は、誰の所有なのだろうか。
建築主? または工務店? それとも支払った分だけ、所有権が移るのだろうか?
これには諸説あって難しい問題らしいけど、建築主が土地を所有しているので、工務店が建物を所有しても意味がないということだろうか。

今まで幸いにも、工事中の倒産したり、建築主が事故にあったりしたことはない。
そんなことがないように祈るばかりである。


5月の現場

半年たった着工直前の現場

 工務店は材木などの物を動かすので、金額を追うのも比較的たやすい。
材料と工賃、それに儲けが、工務店のうけとる工事費の内容であろう。

 しかし、設計事務所は物は何も動かさない。
紙のうえに何か描くのと、電話をしたり、建築主と話をしたりするだけである。
にもかかわらず、工事費の10%という設計監理費をいただく。
工事請負契約の内容がわかりやすが、設計監理費の内容はわかりにくい。

 今回の設計監理費は120万円になるが、その内訳は設計費が80万円、それに監理費が40万円といった割合である。
もちろん設計費のなかには、建築確認の申請費用も入っている(ただし、役所に支払う料金は別途)。
監理費というのは、約半年間の工事中、現場が図面どおりに進むようにすることである。
この監理費はまったくの人件費で、工事監理は設計者以外の人がやっても良い。
だから監理費は判りやすい。

 それでは設計料の内容には、一体どんな項目が含まれているのだろうか。
というより、設計とはどんな作業なのだろうか。
すでに設計は終わっているが、振り返ってみるのも無駄ではないだろう。

 建築主から依頼があって、最初に行うのは、現地調査と役所調査だろうか。
敷地にかかっている法律をしらべ、建築可能な大きさを予測する作業が、一番最初におこなう作業である。

 調査に基づいて、敷地図面のうえに、建築主の希望を形にしていく。
おそらく建築を形にする作業が、設計という作業の中核だとおもう。
建築を形にするのは、情報を入れれば自動的に完成するものではない。
設計者とは表現者でもあるから、自分の住宅にたいする考えをもっている。
住宅に対する設計者の考えをもとに、建築主の希望という要素を、まとめ上げていくと言ったらいいだろうか。

 ボクの基本的な考え方は、「考える家」を読んでいただくとして、考えは形にならないとわからない。
しかし、長年にわたって設計をやってきたので、得も言われぬ心地よい雰囲気を作れるようにはなった。
無垢の木材や漆喰などの自然素材が流行だが、そんなモノを使わなくても、心地よい雰囲気を作ることはできる。
それでも、形にする考え方がなかなか難しくて、つい導線計画や機能に頼ってしまいがちである。

 今回の「サーファープロジェクト」は、予算の縛りが厳しかったこともあったが、それ以上に、住むに必要不可欠な形を追求してきた。
けっして最小面積というわけではないが、一種の最小限住宅と言ったら良いだろうか。
同時期に別のプロジェクトもやっていたが、2階がなかなか形にできなかった。
それにたいして、「サーファープロジェクト」がうまく形になったのは、収納をいっさい捨象したからではないだろうか。

 その結果、1階と2階を、それぞれ大きな1部屋にすることができた。
吹き抜けを作ると、家中に音がかけめぐり、1階が寒くなってしまうので、ボクは上下階をつなぐことには消極的である。
また、個室をつくることにも消極的で、各階を一部屋にすることをすすめたいのだ。
個室にする必要があるのは、子供部屋ではなく夫婦の寝室だろう。
夜の営みを子供たちから守るために、夫婦の寝室は独立性がなければならないから、必然的に個室になる。
それ以外は、開放的な大きな空間でいい。

 子供が勉強するための部屋だって? 
子供が勉強する場所、そんなものは食堂のテーブルで充分だ、と思う。
勉強部屋があるから勉強するのではなく、知ることが楽しいから勉強するのだ。
子供部屋はむしろ家族の会話を途絶させ、家族の人間関係を離ればなれにしてしまう。
ボクの子供部屋観は、大人のための増改築を読んで欲しい。
勉強のために集中できる空間が必要になったら、その時になってから、家具などで仕切ればいい。
それだって、10年以上先の話だろう。

 設計の中核は、建築の形を作ることだが、予算の管理も大きな仕事である。
建築主の予算に合わせて話は始まるが、どんな建築主もたくさん夢をもっている。
建築計画を進めていくと、予算をこえて夢はどんどん広がっていくのが普通である。
そこで予算オーバーを理由に、夢をカットすべきだろうか。

 ボクは原則として、夢をすべて図面にのせることにしている。
第1案の段階で、あれもできなこれもできないでは、フラストレーションがたまるだろう。
夢をふくらませる時期が、いちばん楽しいのだ。
だから、すべての希望を図面化して、見積もりをとり、それから金額を絞り込む作業=ネゴをしている。

 ネゴは後ろ向きで、辛い作業である。
しかし、予算を超えては、建築工事はできない。
金額がはっきりしてくれば、建築主も希望に優先順位がつけやすくなるだろう。
予算を見ながら、夢をあきらめて貰う部分もある。

 というわけで、設計は請負ではなく、委任業務だとかんがえている。
さて次回からは、現場の報告になる。
ところで、建て主のさんが、ブログ<junjun>を開いたので、ぜひ見てください。
 
 (2009.10.27)

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