サーファー プロジェクト      建築用語集
No.00 問い合わせがあった No.01 敷地の状況 No.02 設計依頼と試案提示 No.03 試案の提示−その2
No.04 定例の打合せ No.05 天井と室内仕上げ No.06 仕上げ、地盤 No.07 地盤と基礎
No.08 床下の話 No.09 無垢材か集成材か No.10 建築確認申請 No.11 見積と施工者
No.12 請負契約と銀行 No.13 着工した No.14 プレカット No.15 根切り開始
No.16 コンクリート打設 No.17 基礎とヘルスコート No.18 上棟前の仕事 No.19 上棟した
No.20 屋根と筋違 No.21 中間検査 No.22 現場の年納め No.23 新年を迎えて
No.24 細かいところ−T No.25 細かいところ−U No.26 細かいところ−V No.27 細かいところ−W
No.28 階段と屋根際 No.29 建て主の参加 No.30 ほぼ完成 No.31 最後の仕事
No.32 引渡し No.33 6ヶ月点検
建築主さんのブログ<junjun>へ

大工道具・電動工具やインテリア洋品を探すなら TAKUMI Amazon
TAKUMI Amazonから、タクミ商店に使えそうな道具を集めてみました。

No.11 見積と施工者

 世間では、設計事務所と工務店や建築会社は、同じ建築業界の人間だとみられている。
仕事を受注した工務店から、紹介した設計事務所へとリベートが流れる、と思われているかも知れない。
しかし、ボクの事務所は、リベートを取らずにやってきた。
だからというわけではないが、いつも貧乏だった。

 建築の設計という仕事は、とても面白い。
設計者とは単なる建築技術者ではなく、表現者であり、建築全体をまとめる統率者だと考えている。
だから、志を高くもたなければならないし、下請けなどやってはいけないのだ。
仕事の面白さが、貧乏なままでも下請け仕事もやらずに、何とか事務所を維持させてきた。

最終的な金額は詰め切っていなかったが、
9月22日に地鎮祭をやってしまった。
工事契約前に地鎮祭をやるのは、ちょっと冒険だった。

  ボクは図面を完成させてから、3社ていどの工務店を呼んで、見積もりを取ることが多い。
1社だけの特命発注は、きわめて少ない。
競争入札の形をとることによって、工事費を公正に下げるためと、設計事務所と施工者の癒着を防ぐためだ。

 にもかかわらず設計事務所は、建築会社の下請けだとも思われているらしい。
銀行の営業さんたちは、どちらの建築会社の仕事をしているのかと、必ず聞いてくる。
幸か不幸か、建築会社から仕事がきたことはない。
20年以上も仕事をだしている工務店からも、仕事が依頼されたことは一度もない。
盆暮れに、ビール券がとどく程度である。

 しかし、今回は入札という形をとらずに、設計の途中で、工務店に参加してもらった。
超ローコストなので、受けてくれる工務店がいなくなることを防ぐためでもある。
<M邸を担当する>を読んでいただければ判るように、あまり予算を絞ってしまうと、受注する工務店がなくなってしまうのだ。
儲けの少ない仕事が敬遠されるのは当然だろうが、施工してくれる工務店がいなければ建築は完成しない。

 そんな恐れがあったので、8月の中頃にヨネクラ工務店の米倉さんを呼んで、建築主に引き合わせてしまった。
ヨネクラ工務店は最初に概算見積もりをとったうちの1社である。
最初に提出した¥1、179万円の最初の見積からみると、1階にトイレや手洗いをつくったりと、ずいぶんと仕様が上がっている。
これから仕上げを詰めていくと、減額項目はなくて、増加項目ばかりだろう。
まだまだ予算は増えそうだ。
建築主に引き合わせてしまえば、米倉さんも下りることができなくなるだろうと考えたのだ。
( 米倉さん、ごめんなさい )

 そんな過程をへて、9月の中頃に、中間的な見積もりを出してもらった。
その時の金額は、ユニットバスを含まずに、¥1、244万円だった。
ユニットバスを含めると、¥1300万円近くになってしまう。
1階にトイレと手洗いがつき、1階の窓にはすべてシャッターがつき、2階のベランダは南と北に付き、床下収納が増え、断熱材は大幅にグレードアップしているし、Lan配線も登場した。
他にも細かい追加があるから、当然の金額だろう。
しかし、当然と言ったままでは、設計者の役割は果たせない。
減額して、予算内に納めなくてはならない。

 2階の天井を張らなくなったので、内部足場の費用をけずる。
杭基礎になったので、基礎コンクリートの下に敷く割栗石をとりやめて、基礎工事費を減額する。
木工事費を見直してもらい、大工手間を少し削ってもらえないかと交渉する。
具体的には、2万円の日当を18、000円にしてくれということだ。
外部に張るサイディングの金額を見直してもらう。
サッシの金額が高いようなので、サッシ屋さんと再交渉してもらう。
設備機器の差し替えを検討する。
値下げ交渉した項目は、またまだたくさんある。
それから、ここをああして、あそこをこうして、と、ネゴが続いた。

 しかし、すでに相当切り詰めた金額であり、もともと安い値段なのである。
ローコストをうたう多くの例では、別途工事が多く、しかも消費税は含まれていないだろう。
消費税も入れて1200万円というのは、かなり高いハードルである。
結局、見積のツメは10月に入ってしまった。

 工務店とのこうした値切り作業を、ボクは建築主の前でもやるのだ。
工務店の儲けを削っていくのだから、設計事務所が工務店や建築会社に嫌われるのは当然である。
設計事務所と工務店や建築会社は、同じ建築業界の人間でありながら、利害は対立してさえいる。
両者は立場がまったく違うのだから、設計事務所を良くいう工務店や建築会社はない。

 建築会社の下請けをやっていたら、工務店の見積を削ることなどできるはずがない。
建築主サイドに立つかぎり、設計事務所は建築界の憎まれっ子なのである。

 
 ああだこうだの手続きをへて、下記の表がネゴをした後の、つまり工事請負契約の金額である。


工種 内容・種類 数量 単位 単価 金額 備考
1 仮設工事






 外部足場 防護ネット共 1
\162,000

 残材処理費 端材・梱包材など 16 m3 \18,000 \288,000 発生材等場外処分

 その他 保安設備など 1
\100,000 仮設電気・水道・トイレなど

小計



\550,000
2 基礎工事






 基礎工事 ベタ基礎 45 u \18,800 \846,000 地盤改良工事を除く

 建て方 レッカー共 1
\90,000 上棟の手間

小計



\936,000
3 木工事






 構造材 集成材 1
\1,369,486 プレカット工賃共

 羽柄材他 間柱・合板など 1
\705,800 階段材を含む

 大工手間
90 u \22,000 \1,980,000 現場での加工・取付工賃

 釘・金物など
90 \1,000 \90,000

小計



\4,145,286
4 屋根工事






 金属板工事 瓦棒葺き 1
\253,250 ガルバリウム鋼板

 樋工事 塩ビ製 1
\44,750

小計



\298,000
5 外壁工事 サイディング 128 u \5,500 \704,000 通気シート共
6 金属建具工事






 ベランダ W=1.8 & 3.6 2
\298,950 材工共

 アルミ建具 玄関扉・網戸とも 13
\1,128,980 1F:シャッター付き

小計



\1,427,930
7 内装工事






 内装材 珪藻土クロス等 1
\160,220 厨房床はクッションフロアー

 内部建材類 床板、木製建具 1
\582,950 杉無垢床板、額縁、幅木等

 住宅設備機器類 ガス給湯器他 1
\545,000 ユニットバス、床下収納等

小計



\1,288,170
8 電気設備工事 外線、幹線 1
\749,660 テレビ・アンテナを含む
9 給排水衛生工事 接続まで 1
\795,000 流し水栓金具を含まず
10 ガス配管工事
1
\150,000 都市ガス
11 諸経費
1
\750,000 保険など

工事費合計



\11,792,046
12 消費税 5%


\589,602

合計



\12,381,648
13 値引き



-\381,648

総合計



\12,000,000
別途設計監理費、地質調査+地盤改良、外構工事、空調機と主な部屋の照明器具、水道局への局納金、儀式費用、登記費用など


 合計金額では、1200万円を¥381,648−ばかりでてしまった。
1200万円を目標にして進めてきたプロジェクトである。
すでに詰めてきた金額なのでダメかとも思ったが、米倉さんに、恐る恐る値引きできないかと聞くと、しばらく考えて「いいですよ」と言ってくれた。
しかも、米倉さんはレンジフードの新古品(5万円相当)を、寄付してくれるという。
この言葉を聞いて、さんともども大感謝である。

 この合計金額が、高いという人はいないだろう。
1200万円を27.27坪で割れば、坪当たり44万円となる。
そして、消費税を除いた1142万円を、27.27坪で割れば、坪当たり42万円である。
いずれにしても、破格の値段である。

 地盤改良や外構工事は、どんな見積でも別途になっているはずである。
しかし、今回はセルフビルドの部分が、見積に含まれてはいない。
この見積に含まれていない金額は、厨房のホーロー流しと水栓、脱衣室の洗面器と鏡、1Fの珪藻土、2Fの塗装、タイル貼りである。

 厨房はシステムキッチンではなく、ホーロー流しをつかったカントリースタイルである。
そのため、さんから現物を支給することにしてもらった。
脱衣室の洗面器と鏡もこだわりがあるので、さんからの現物支給である。
1Fの珪藻土、2Fの塗装、タイル貼りは、さんたちのセルフビルドの予定だが、ボクたちも手伝うようだろうと覚悟している。
それでも材料費はかかるから、厳密に言えば1200万円をわずかに出てしまっている。

 そのうえ建築工事には、工事途中での変更・追加がつきものである。
このままの金額では納まらないと思うが、とりあえず1200万円の目標内である。
安い金額から出発できたのは幸先が良い。

 1通のメールが来て、「サーファープロジェクト」の設計が始まったのは、5月である。
ゴールデンウィークから10月まで、長いようで短い日々だった。
いよいよ設計から施工にうつる。
そして、設計者は監理者へと変身する。

 施工が始まると、主役はヨネクラ工務店となる。
しかし、より充実させるための細かい設計変更はつづく。
工事が順調に進むように、監理者のボクは裏方として力添えしていこう。
 
 (2009.10.16)

次へ
〈タクミホームズ〉のトップへ戻る