サーファー プロジェクト      建築用語集
No.00 問い合わせがあった No.01 敷地の状況 No.02 設計依頼と試案提示 No.03 試案の提示−その2
No.04 定例の打合せ No.05 天井と室内仕上げ No.06 仕上げ、地盤 No.07 地盤と基礎
No.08 床下の話 No.09 無垢材か集成材か No.10 建築確認申請 No.11 見積と施工者
No.12 請負契約と銀行 No.13 着工した No.14 プレカット No.15 根切り開始
No.16 コンクリート打設 No.17 基礎とヘルスコート No.18 上棟前の仕事 No.19 上棟した
No.20 屋根と筋違 No.21 中間検査 No.22 現場の年納め No.23 新年を迎えて
No.24 細かいところ−T No.25 細かいところ−U No.26 細かいところ−V No.27 細かいところ−W
No.28 階段と屋根際 No.29 建て主の参加 No.30 ほぼ完成 No.31 最後の仕事
No.32 引渡し No.33 6ヶ月点検
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No.08 床下の話

ベタ基礎の全断面
基礎の鉄筋など詳細を示す部分断面図
 基礎の形式には、逆T字型の断面をした布基礎と、建物下の全体にコンクリートを打つベタ基礎がある。
最近ボクが使うのは、ほとんどベタ基礎である。
今回も右の図のように、2重に鉄筋を入れたベタ基礎を使っている。
過剰設計かも知れないと思いつつ、お金がないのに、基礎には充分以上の予算をさいてしまう。
ボクも<安全>神話から逃れられない。困ったものだ。

 布基礎だと、立ち上がり部分に床下換気口をつけて、床下の通気をはかり、床下は自動的に外部扱いになる。
必然的に断熱は床面で行うことになる。

 しかし、ベタ基礎にすると、いくつか考えるべき問題がでてくる。
ベタ基礎はコンクリートによって、土と切れているので、土からの湿気が上がらない。
そのため、床下を室内扱いにも屋外扱いにも、どちらにもできる。

 床下を室内扱いとするか、室外扱いとするかで、設計が大きく変わってくる。
まず防蟻剤の扱いが違う。
アリを殺す薬剤は、人間に良いはずがない。
床下を室内扱いにすれば、床下の空気は室内にもまわってくるので、床下に防蟻剤が使えない。
だから、室内と連続した床下空間には、防蟻剤を使うわけにはいかないのだ。

 床下が室内扱いになると、床下換気口がなくなってしまう。
また、床下も室内だから、気密・断熱も室内として考えなければならない。
断熱については、基礎の立ち上がり部分で断熱することになる。

 反対に、床下を室外扱いにすれば、床下で断熱し、床下から地面までのあいだの通気をはかる。
屋外だから、床下の大曳き(大引き)などにも、防腐剤や防蟻剤を塗布しておくことができる。
そして、基礎の立ち上がり部に、換気のために小窓を切っておく。
こちらは古典的な考え方で、今でも多くの人が使っている。

 しかし、床下を室内扱いとすると、建物と基礎が一体化するので、ボクは原則として床下を室内扱いにしている。
室内扱いにすると、床下換気口を設けないので、基礎の高さが欠損されない。
そのため、立ち上がりの全部分が、梁の役割をはたし、丈夫な基礎になるのだ。

 通気的には、基礎と土台を密着させ、床下の空気を外部に逃さないようにする。
床下が室内となった副産物として、コンクリートの熱的な利用ができるようになる。
H邸の新築工事(外壁ができた第21回参照)では、小屋裏の暖かい空気を床下まで導き、床を暖めようとした。

 この考え方は、屋根上に集熱器を設置するOMソーラーに近いものだ。
大がかりなOMソーラーを使うと、システム全体では200万円くらいの費用がかかる。
極限的なローコスト住宅の今回は、とても使えない。
そこで今回は、床下に空調機を仕込んだらどうだろうか、と考えたのだ。

 床下の基礎を暖めて、暖まった空気を室内へと解放してやれば、暖房になるのではないか。
太陽だのみのOMソーラーとちがって、空調機で基礎を暖めるのだから、いつでも暖房が効く。
この家は、幸いにも全体が1部屋になっているので、こうした暖房が有効だろうと思う。
しかも、空調機は10万円もみれば設置できるから、吹出し口を含めてもきわめて安く施工できる。

 もちろん問題はある。
まず、@ 熱的に安定して暖房できるか、そして、A 電気代がどのくらいかかるか。
そして、B 床下の空気を動かすので、長時間たつとホコリがつもり、それが室内に入り込んでしまわないか。
などが予想される。

 24時間の連続運転をすれば、コンクリートが蓄熱体になるので、暖房効果は充分にあるだろう。
24時間運転であれば、空調機も小さな能力ですむだろうから、電気代もさほどではないだろう。
そしてホコリ対策は、ロボット型の電気掃除機を走らせれば、大丈夫だろうと思う。
また、床下が乾燥するだろうから、床下を室内扱いする場合には、とても良いことだ。


 床下を室内扱いした場合にも、基礎の断熱にも、いくつか方法がある。
まず、基礎の外部側にボード状の断熱材を貼り付ける方法がある。
これだと、断熱材を隠すために、仕上げをしなければならない。
また、断熱材が地中まで入るので、断熱材が白蟻に食われる心配もある。

 つぎに断熱材を、下図のように基礎の内側に、貼る方法がある。
この方法では、コンクリートが外部と接しているため、断熱効果が薄いように感じる。
しかし、住宅金融公庫の仕様書でも、この方法を認めている。
つまり、この方法でも、充分な断熱効果があるということだ。
ということで、安価に施工できることも考えて、今回は基礎の内側に断熱材を貼り付けることにした。

青い空調機から出た暖気は、床下を流れて室内へのぼる

 左図が、床下の基礎を暖めて、床下を暖房の蓄熱層とするための細工である。
左図のように空調機を仕込むと、空調機をでた暖かい空気は、基礎のコンクリートを暖めながら、反対側の壁際で室内へと立ち上ってくる。
前回の地質調査をした地点の図を見てほしい。
基礎の内側には、中央に1本の立ち上がりをつくっただけである
床下の空気が全体にまわるように、床下を区画しなかったのだ。
 
 冷房の場合には、冷たい空気は重いので、引き上げてやらなければならないが、暖かい空気はほっておいても上に登ってくれる。
幸いなことに、さんたちは床仕上げ材に杉の無垢材を選んでくれたので、足裏への感触は暖かい。
暖房であれば、暖かい空気は自然に立ち上ってくるので、こんな仕掛けでも大丈夫だろうと思う。

 超ローコスト住宅でも、耐寒住宅にするつもりはない。
窓ガラスもすべてペアーガラスだし、予算次第では、北側の窓だけはLaw−E ガラスも検討している。
(内部の熱を逃がさないためだから、金属面を室内側に使うつもり)
壁の断熱材も、住宅用グラスウール24K相当を、厚さ100ミリ入れる設計になっている。
また屋根面は、押出法ポリスチレンフォーム3種を90ミリいれる。
これは住宅性能評価の最高基準である等級4に、ほぼ近い仕様である。
断熱材だけは、通常の住宅の断熱材の2倍以上の予算を使っている。
こうした断熱仕様のため、床下の空調機だけで暖房をまかなえるように、と計画しているのだ。

 床下の仕掛けだけでは、冷房には対処できない。
冷房は間取りと、窓の位置で対処している。
現地に立つと、南北の風が心地よい。
南北の風通りを邪魔しないように、室内には東西の区画をしていない。
2階の東側に、風だまりができてしまったが、これにも対策をたてている。
屋根を東から西へと傾斜させて、片流れ屋根を採用しているのだ。
そして、平らな天井を張らずに、屋根なりの斜め天井を採用している。
これで空気が上に登って、いくらか涼しくなって欲しいのだ。

 通風と勾配天井は、かつての農家からの借用である。
間取りが増えていくと、どうしても通風が悪くなる。
その結果、各部屋ごとにクーラーをつけることになってしまう。
世間は自然素材の礼賛で騒々しいが、通風をはかる間取りも大事な自然利用である。
自然素材は商売になるから、企業は自然素材の良さを大宣伝する。
しかし、床下の利用や通風などといった、<設計思想>は儲けにならないから、企業はどこも手をださない。
少ない予算をやりくりして、ヘボ設計屋は<サーファー プロジェクト>を練っている。
 
 (2009.09.23)

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