サーファー プロジェクト      建築用語集
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No.04 定例の打合せ No.05 天井と室内仕上げ No.06 仕上げ、地盤 No.07 地盤と基礎
No.08 床下の話 No.09 無垢材か集成材か No.10 建築確認申請 No.11 見積と施工者
No.12 請負契約と銀行 No.13 着工した No.14 プレカット No.15 根切り開始
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No.07 地盤と基礎

 地盤の調査方法には、
スウェーデン式サウンディング試験の機械

@、スウェーデン式サウンディング試験
A、ボーリング試験(標準貫入試験)
B、平板載荷試験 などがある。
木造住宅で行われるのは、圧倒的にスウェーデン式サウンディング試験が多い。
その理由は、安価だからだ。
ボーリング試験が20〜25万円くらいかかるのにたいして、4〜5万円くらいですむ。

 そのため、ハウスメーカーが営業の手段として使うことがある。
<工事契約をしなくても、無料だから地盤調査をさせて欲しい、という。 スウェーデン式サウンディング試験をおこなう。そして、試験データーを見せながら、地盤が良くないので、不等沈下をおこす可能性がある、という。地盤の補強が必要だから〜>

 地質調査をやって、建築主の関心を引き、工事の受注にもっていくのだ。
不要かも知れない地盤改良まで施工できれば、受注金額が大きくなって儲けが増える。 
スウェーデン式サウンディング試験は安いから、ハウスメーカーは営業経費とすれば良いのだろう。
ここで受注できなくても、次の営業に使えるから、けっして損ではないらしい。

 建築主は建築に対して知識がないから、検査データーを見せられると不安になりやすい。
一度不安にかられると、ボクのようなヘボ設計者が、いくら説明してもダメである。
地盤の補強は不要だといっても、データーを手に<安全>をいう営業マンを信じてしまう。
他の業者にかえて再試験をやると、またお金がかかるから、再試験をやろうとも言いだしにくい。
この<信頼>というヤツは実に難しく、設計者もしばしば振りまわされる悩ましいものだ。

 ちょっと脱線したけど、地質調査の話にもどる。
スウェーデン式サウンディング試験は万全ではない。
地質も採取できないし、深さも10メートルが限界である。
しかし、木造住宅は軽いので、ボーリング試験(標準貫入試験)までする必要はないだろう。
ここでも対費用効果という話である。

 今回の敷地は、建物のしたに擁壁の底盤(下図の茶色い部分)が入り込んでいる。
擁壁の地耐力は130Kn/uを見ていると、擁壁の設計者から報告があった。
130Kn/uといえば、約13トンである。
それなら基礎のしたにコンクリートを打って、擁壁と基礎をつないでしまえば良いのではないか。
擁壁の荷重余力は充分にあるし、きわめて安定した基礎になる。
そうすれば、基礎上の荷重は、直接に擁壁にのることになり、土は関係なくなる。
土に関係なくなるから、スウェーデン式サウンディング試験も不要になるし、地盤改良もする必要はなくなる。


  
赤い部分がラップル・コンクリート

 基礎のしたに赤い帯のように、ラップル コンクリートと呼ぶコンクリートの塊を打設し、その上に基礎をのせる。
基礎は建物のした全体にコンクリートを、ベタに打ってあるので、断面を見るとちょうど下駄のような形になる。
2本の下駄の歯で、基礎を支えるのである。
建物の手前部分が跳ね出しているが、この程度なら大丈夫である。

 この工法であれば、使うコンクリートが9立方メートルとして18万円。
それに土の掘削と搬出処分で、20万円もかからないだろう。
合計40万円もかけずに、充分な基礎の補強ができる。
右側の駐車場は、トンネル状になっている。
ここにコンクリートの塊をのせても大丈夫である。

 しかし、左側の部分に、ちょっとイヤな感じがする。
擁壁は道路から階段にそって、手前に曲がっている。
そして、階段の上がり口の擁壁2メートルが、道路側の擁壁と縁切られている。
つまり、茶色い部分と、網かけ部分は、底盤の深さが違うのだ。
おそらく道路側の擁壁を先に施工して、階段上のほうは後に施工しただろう。
2メートルの擁壁の床付け面は、道路側擁壁の工事で荒らされているに違いない。
掘りすぎて埋め戻している可能性もある。
とすると、網掛け部分の地耐力は130Kn/uあるかどうか、判らない。

 左側のラップル・コンクリートは、半分以上が網かけ部分にのるのだ。
地対力の判らないものの上に、荷重をかけるわけにはいかない。
いくら安くできるといっても、この工法はボツにする。 

 ここで初めて、地質調査をするかどうか、地盤の検討に手をつけることにする。
こうやって基礎についての構造計画を進めていく。
ボクはこうした話を建築主に、すべて打ち明けながら設計を進めていく。
ありがたいことにさんたちは、ボクの説明を丁寧に聞いてくれる。


 地盤調査を行う業者を手配して、現場にいく。
すでに施工者が来ており、敷地の5点で調査という打合せをする。
右図の赤丸1〜5 が予定の調査点だが、調査報告書には6点目も調査したと記されていた。

1 は、擁壁の上だから、3メートルまでである。
2 は、駐車場の上だから、70センチもいかないだろう。
3 は、擁壁施工の状況がわからないので、擁壁に関係あるのか不明である。
4〜6 は、元の地盤が素直にでるだろうと予測する。
地質調査をした地点
床下暖房のため床下を区画せず、一空間化(後述


 調査結果は、次の通りである。
表土は3.00〜3.80と硬いが、2メートル以下が2.25と軟弱 
70センチしかないが、全体に軟弱で、2.25〜3.00
表土は3.00〜4.80と硬いが、2メートルに2.25の軟弱部分がある
全体に3.00〜3.60と良好であり、2.50メートルで6.00と強固
表土は3.00〜4.20と硬いが、1.75メートルで軟弱地盤がある
地表から2メートルで6.00と硬い地盤になる
* 硬さを表す数字は、数字が大きいほど硬くなる。
3.00以下を軟弱地盤と見なし、なんらかの補強が必要である。













 5 点では、−1.75で、軟弱地盤がでているのはちょっと予想外である。
業者も念のために確認しようと、6点目を調査したのだろう。
これによって、図面の下から上にかけての下り傾斜地だったと確認できた。
擁壁をつくっているので、3メートルまでは信頼できない地盤だが、
共通して2.75〜3.25あたりには、ひじょうに硬い地盤がある。
ということで、2.75〜3.25あたりを支持地盤とすべきだということになった。
つまり地盤改良が必要である。

では、地盤改良をするには、どんな工法を選ぶべきだろうか。
 1.表土改良工法
 2.柱状改良工法
 3.鋼管支持杭工法
などが、ふつうに行われている。

 1.表土改良工法は、土に薬品を混ぜて土を硬くし、地耐力を確保する工法である。
この工法は、表面の土が軟弱な場合に採用されることが多い。
現場の土を撹拌して使うため、手軽で工事費も安い。
しかし、土に混ぜる薬品の安全性に、ちょっと疑問が残るので、あまり採用したくない工法である。
今回のように、深さが3メートルあると採用できないので、これは検討外となる。

 2.柱状改良工法は、セメント系凝固材と水を混ぜたセメントミルクを、土と円柱状にまぜる工法である。
大きなドリルで土を掘りながら、同時にセメントミルクを混ぜ合わせて、土とセメントの混じった柱をつくる。
柱状の杭のうえに基礎をのせるので、建物は安定して支持される。

 3.鋼管支持杭工法は、支持地盤まで鋼管を押し込んで、そのうえに建物をのせる工法である。
鋼管なので信頼性は高いが、地盤自体を固めるものではないので、土との馴染みが悪い。
そのため、表土がおおきく沈むと、建物が取り残される可能性がある。

 ところで柱状改良工法は、表土改良工法と同じように、土と薬品を混ぜるものである。
環境汚染がいわれる昨今、無害だとはいえ土に混ぜ物をして良いのだろうか、と疑問に思う。
また、この家を建て替えることになったとき、セメント系凝固材の混じった土が柱状に残されることになる。
次回の建築が違った形なら、今回の地盤改良が使えるとは限らない。
その時に、セメント系凝固材の混じった柱状の土を、抜き出すことができるだろうか。

 地盤改良と簡単にいうが、アスベストの例もあるように、安易に化学薬品を使うのは考えものである。
そんなことを考えながら、柱状改良工法と鋼管支持杭工法を比べてみる。
支持地盤が浅いので、施工費はほとんど変わらないようだ。
ということで、鋼管支持杭工法を第一候補として、計画を進めていくことにする。

 (2009.09.21)

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