サーファー プロジェクト      建築用語集
No.00 問い合わせがあった No.01 敷地の状況 No.02 設計依頼と試案提示 No.03 試案の提示−その2
No.04 定例の打合せ No.05 天井と室内仕上げ No.06 仕上げ、地盤 No.07 地盤と基礎
No.08 床下の話 No.09 無垢材か集成材か No.10 建築確認申請 No.11 見積と施工者
No.12 請負契約と銀行 No.13 着工した No.14 プレカット No.15 根切り開始
No.16 コンクリート打設 No.17 基礎とヘルスコート No.18 上棟前の仕事 No.19 上棟した
No.20 屋根と筋違 No.21 中間検査 No.22 現場の年納め No.23 新年を迎えて
No.24 細かいところ−T No.25 細かいところ−U No.26 細かいところ−V No.27 細かいところ−W
No.28 階段と屋根際 No.29 建て主の参加 No.30 ほぼ完成 No.31 最後の仕事
No.32 引渡し No.33 6ヶ月点検
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No.03 試案の提示−その2

 いくら模型があると言っても、いきなり図面を見せられて、イメージをつかめるわけはない。
細かい部分は、じょじょに分かってもらおう。
建築主も自分たちのイメージがあるだろうが、設計者も住宅に対して自分のイメージを持っている。
それを上手くすり合わせて、より良いものを作っていく。
1階の内部。中央左が階段、その向こうが玄関、左が厨房

 イメージはなかなか伝えられないことが多い。
だから模型を作ったり、スケッチを描くのだが、それでも伝わらない。
伝わらないからといって、あきらめたら設計は進まない。
なんとか形にして、建築主に見せる。
形を見せるのは、白い模型が良いように思う。
白であれば、どのようにでも色つけができる。

 多くの人はイメージがあると言いながら語ることができない。
語れないイメージはないに等しい。
それに対してさんたちは、かなりはっきりしたイメージをもっていた。
最初のメールでも、イメージが良く伝わってきたし、会ってもイメージを伝えてくれた。
しかも、発想が実に柔軟である。これは稀なことだ。

 自然好みのサーファーとしては、なるべく自然素材を使いたいというのは、当然の希望だろう。
しかし、本物の自然素材は、そうとうに手強い。
無垢の木は、手あかや足の汚れが付くし、反ったり曲がったりする。
多くの人たちは、自然素材を口にしながら、汚れては困るとか、虫は嫌いだという。
自然は汚れているし、虫もいる。
自然と付き合うのは、とても手間がかかるし、お金もかかるのだ。
汚れるのがイヤなら、塗装をすべきだが、そうするともう自然素材のアジワイはなくなる。

 さんたちは自然の手強さを知ったうえで、話をしている。
それが良く伝わってきた。


 食器洗い機の話になった。
共稼ぎのさんたちは、食器洗い機は不可欠だろう、と考えていた。
しかし、彼等の返事は違った。
「食器は手で洗うことを知って、そのうえで必要なら機械に任せるべきだ。子供たちが、食器の洗い方を知らないまま育つのでは、親の責任が果たせない」
と言う。
共稼ぎであっても、家事は女性の役目になりやすい。そこでボクは、意地悪な質問をした。
さんは食器を洗っているのですか」
すると、彼も食器を洗っていると言うではないか。

 彼等の言うほうが正しい。
ボクがたちまち食器洗い機を取り下げたのは言うまでもない。

 食器洗い機から厨房へと話はひろがっていく。
システム・キッチンにも興味がないと言う。
そういって、見せられたのが、下の写真である。

さんたちが希望する台所

 カウンターはタイル張り。
流しはホーローで、熱源はあくまでガスである。
電磁調理器にはまったく関心を示さない。
タイルの目地が汚れることも、彼女は知っている。
システム・キッチンのほうが便利なのも知っている。
しかし、彼女には彼女の好みがあるのだ。
自分たちの台所を、きちんと手入れしながら使うという。
ボクは若い2人から教えられる。
この仕事ができることは、とても幸運だった。

 最近の洋式便器は、自動的に便座のフタが開き、用が済めば自動的に流してくれる。
これもさんたちは、ノーだった。
自動水洗式の便器で育った子供は、通常の便器では流し忘れるという。
自分の身の始末をきちんとできること、それは子育ての基本であろう。
さんたちと話していると、生活することの基本を再確認している自分に気づく。

 便利にするという理由で、つぎつぎに新しいものが商品化される。
自動でフタが開く便器は、20万円以上する。
それにたいして、通常の便器は5万円くらいからある。
通常の便器にウオッシュレット(温水便座)をつけても、7万円くらいであがる。
もちろん通常の便器で、じゅうぶん以上に使える。
便利にするということで、設計者は新しいもの=高価なものを進めがちである。
しかし、新商品はメーカーが、より大きな儲けをねらうために売り出される。
何にお金を使うかは、その人の生き方によるのだ。

仮設工事 足場他 \618,110-
基礎工事 ベタ基礎 \900,000-
外壁工事 防火仕様 \780,650-
屋根工事 ガルバ鋼板 \402,000-
大工工事 集成柱 \3,600,000-
建具工事 ペアガラス \1,140,000-
塗装工事
\150,000-
内装工事 クロス他 372,000-
UBなど 洗面所 \690,000-
雑工事 断熱材他 \330,000-
電気設備 外線引込共
\500,000-
給排水衛生 宅内工事
\750,000-
ガス・給湯器 宅内工事
\200,000-
諸経費
\800,000-
小計
\11,232,760-
消費税 5% \561,638-
合計
\11,794,398-
 右に示すのが、設計者の想定した工事費である。
もちろん、これは施工者の作った見積書ではないから、実際の工事費は増減する。
この見積では壁は量産品のクロスだし、安価な商品を選んでいる。
今後、さんたちの希望を入れていけば、工事は増加するだろう。
1階にもトイレを作れば、それだけで30万円くらいは増加する。
きびしい予算であることは間違いない。
しかし、1200万円の線は守れそうである。

 建築というのは、大きな妥協である。
何を取り、何を捨てるか。それは住む人の生き方にかかっている。
新たな提案をすると、設計者の仕事が増え、自分の首を絞めるようになるだろう。
しかし、可能なかぎりさんたちの希望を実現したい。

 <試案−1>を叩き台として、話を進めていくことになった。
改善点は、
1.1階にもトイレを設置する。
2.それにともなって、階段の位置を検討する。
3.2階のベランダを中止。
4.素材の検討。
だった。

 ずいぶんと時間がたった。
喫茶店から閉店だと言われて、ボクたちは追い出された。
今後、1〜2週間に1回程度の打合せを約した。

(2009.08.25)

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